線の強弱
別表記: 線幅, line weight, 強弱線, 入り抜き, 線の太さ
線の強弱は、1枚の絵の中で線の太さを意図的に変えることです。太い線は手前に出て影や重さとして読まれ、細い線は奥へ引いて光や繊細さとして読まれます。色も影もない線画が奥行きを持つのはこの仕組みによります。
素人の絵がプロっぽくなる唯一の一手
太さの均一な線画は必ず平たく見えます。デッサンとしては正しいのに絵が死んで見える原因は、 ほぼこれです。他の要素——人体、パース、仕上げ——は何年もかかります。線の強弱は午後1回で 理解でき、ページが即座に良くなります。最初にやる価値があるのはそのためです。
優先順位つきの4つの原則
1. 外を太く、内を細く。 人物のシルエットに最も太い線を与え、内側のディテール——しわ、 目鼻立ち、小さな形——は細く。これだけでキャラが背景から分離します。
2. 手前を太く。 前景は太い輪郭、中景は中くらい、背景は細く。1つのコマ の中で3段階を一貫させるだけで、トーンも色も使わずに読める奥行きが出ます。背景線を細く均一に するだけで人物が立って見えるのはこの効果です。
3. 光の向きに従う。 ページごとに光源の向きを決めて動かさない。どの形も影の側の輪郭を太く し、光の当たる側は細くする——あるいは完全に切る。光が当たる場所で線が消えるのは、マンガで 最も安く、最も説得力のあるハイライトです。
4. 太さは質量に従う。 ブーツの線はまつ毛より太く、石壁はカーテンより太い。テクスチャを 1本も描く前に、線の太さが材質を伝えます。
入り抜きが半分を占める
太いだけで均一な線は、やはり死んだ線です。命はストロークの中の変化にあります。カーブの 腹で太く、両端に向かって消えていく。筆やGペンが筆圧で自然にやっていることで、人物にこの2つ が標準的に使われる理由もそこにあります。
デジタルでは筆圧検知がかなりの部分を肩代わりしますが、よくある失敗は、ゆっくり慎重に引く ことです。遅いストロークはよれて太さの変わらない線になります。肘から速く引き、気軽に取り消し、 何度かやり直すのを受け入れてください。自信のある線は、実際に自信を持って引かれた線です。
均一が正解の場所
すべてに強弱が要るわけではありません。ミリペンの均一な線は、機械、建築、コマ枠、そして 「作られたもの」として感じてほしいものには正しい選択です。リーニュ・クレール、4コマ、 現代のフラットなウェブトゥーンの絵柄の多くは、意図的に均一な線を使い、奥行きを色で持たせて います。それは一度決めて貫くスタイルの判断であって、事故で起きているときだけ欠陥になります。
自分のページを点検する
サムネイルサイズになるまで縮小してください。シルエットが読め、前景が背景から分離していれば 合格です。全体が1枚の灰色のマットに溶けるなら、問題はディテール不足ではなく線の太さです。 そこでスクリーントーンを足すと症状が隠れて病気が残ります。直すの はペン入れの側です。
関連用語
- ペン入れ — ペン入れは、下描きを消えない黒い線で引き直す工程です。どの輪郭を線にするか、線をどれだけ太くするか、どこをベタで潰すかを決めるのがペン入れで、ページの奥行きとコントラストはここで決まります。
- スクリーントーン — スクリーントーンとは、白黒原稿に貼って中間調を作るための、網点・線・グラデーションが印刷済みのシートのことです。元はカッターで切って貼り込む粘着フィルムでしたが、現在はほぼデジタルのトーンレイヤーとして扱われます。
- 下塗り(フラット) — 下塗りは、コマの中の各領域をムラのないベタ一色で塗り分ける着色工程です。影も光も付けません。こうしておくと後の仕上げで、どの領域も自動選択のワンクリックで正確に選べるようになります。
- コマ — コマとは、物語の一瞬を切り取った枠付きの一画のことです。枠が「その瞬間はここで終わる」と示し、コマの面積が読者の滞在時間を決め、コマの並びがそのまま時間の流れになります。