ウェブコミック
別表記: ウェブマンガ, Webコミック, オンラインコミック, webcomic
ウェブコミックとは、紙ではなくウェブ上で発表されるマンガ全般のことです。形式ではなく発表の場を指す語なので、三コマのギャグ、紙と同じページ組み、縦スクロールのいずれもウェブコミックであり、多くは描き手自身による自主発表です。
形式ではなく、場所の話
ここが一番よく取り違えられるところです。ウェブトゥーンは規則のある 形式──一本の連続した縦帯、スマホ向けの寸法──ですが、ウェブコミックは単に「ウェブ上にある マンガ」です。ウェブトゥーンはすべてウェブコミックであり、ウェブコミックの大半はウェブトゥーン ではありません。
その緩さこそが語の存在理由です。満足させるべき出版社も、設計を縛る印刷の制約も持たない作品の ために生まれた言葉なので、残っている規則は「ブラウザで開ける」だけです。
形の系譜
初期のウェブコミックは新聞の四コマ・ストリップを受け継ぎました。横一列に三〜四コマ、決まった 更新日、デスクトップのモニタで読む形です。もう一つの系譜は紙と同じ判型のページを描いて(あるいは スキャンして)一枚ずつ上げるもので、長期連載のウェブコミックの多くが今も画面上で本のように読める のはこのためです。間白はミリ単位で、ページは全体として構成され、 スクロールは前提にされていません。
三つ目の系譜はブラウザ自体を画布として使おうとしたもので、横に延々とパンする作品や無限に伸びる 作品がありました。モバイルとの接触をほとんど生き延びていません。生き延びて、そして勝ったのは 縦帯です。
本当の違いは経済のほう
ウェブコミックには原稿料も前払いもありません。だから権利は描き手のものになり、リスクも描き手が 背負います。収入はマンガそのもの以外から来ます。pixivFANBOX や Fantia の月額支援、BOOTH や 同人即売会での頒布、プラットフォームの分配、単行本化、グッズ、依頼仕事。一円も稼がないウェブ コミックも立派にウェブコミックですし、家賃を払えているウェブコミックは、ほぼ確実に広告表示 ではなく上のどれかでそうしています。
だから一回の更新よりもアーカイブのほうが重い。ウェブコミックは、同じ場所に何年も存在し、 過去分がまとめて読める状態であることで価値を蓄積します。引っ越し、過去ログの放置、SNSのタイム ラインへの散逸は、この形式の取り柄をほとんど破壊します。
これから始める人への実務的な助言
- 1ページ目の前に形を決める。 ストリップか、ページか、縦スクロールか。毎回の ネームの切り方が変わります。一年後に切り替えると、アーカイブが 二通りの読み方に割れます。
- スマホを前提に。 紙判型のページであっても、スマホの横幅で文字が読めるか確認すること。 読者の大半はそこにいます。
- プラットフォームと自分の場所、両方に出す。 発見はプラットフォームが運んでくれますが、 誰にも消されない控えは自分のドメインにしかありません。
- 続けられる更新頻度にする。 五年続く隔週更新は、三月で止まる毎日更新に勝ちます。
関連用語
- ウェブトゥーン — ウェブトゥーンは、ページをめくるのではなくスマートフォンを縦にスクロールして読むことを前提に、一本の連続した縦長の帯として描かれるデジタルコミックです。韓国で生まれ、現在は世界中で使われています。
- コマ — コマとは、物語の一瞬を切り取った枠付きの一画のことです。枠が「その瞬間はここで終わる」と示し、コマの面積が読者の滞在時間を決め、コマの並びがそのまま時間の流れになります。
- 縦スクロール — 縦スクロールとは、ページをめくらずにスマートフォンを下へスクロールして読む、一本の縦長の連続した紙面として組まれた形式です。ウェブトゥーンの標準形で、コマとコマのあいだの空白がテンポを決めます。
- 読み切り — 読み切りは、前後の話を持たない1回完結のマンガです。日本の雑誌では新人と新企画の審査を兼ねており、その設定とキャストが連載を支えられるかを、連載を始める前に読者の反応で測る仕組みになっています。