少女漫画

別表記: 少女マンガ, 少女誌, shojo, shoujo

少女漫画とは、おおむね12〜18歳の女性読者向け雑誌に連載されるマンガを指す、出版上の読者区分です。題材ではなく読者層で決まる区分でありながら、この雑誌群がマンガ史上もっとも独自なページ文法を生み出しました。

区分が指しているもの

少女漫画は年齢×性別の雑誌グリッドの片側です。『なかよし』『りぼん』『花とゆめ』 『別冊マーガレット』。少年漫画と同じく市場区分なので、中身の幅は広い。 『フルーツバスケット』は家族の傷の話、『美少女戦士セーラームーン』はアクション、 『ぼくの地球を守って』はSF、そして少女向けホラーは棚一つ分あります。

この区分が発明したページ文法

少女漫画について本当に重要なのはここで、しかも他のあらゆるマンガに輸出された部分です。 1970年代、24年組──萩尾望都、竹宮惠子、池田理代子とその同時代作家たち──は、ページを 「瞬間を並べる格子」として扱うのをやめ、一つの情緒空間として扱い始めました。

生まれた語彙:

  • 枠のないコマ。 枠がない瞬間には決まった長さがないので、出来事の連なりではなく感情として 読まれます。
  • 間白を越えて立つ人物。 ページ全体にまたがる全身像の上に小さな コマが載っている構成は、一文字も読まれる前に「このページは誰の内面か」を告げます。
  • 縦割りと斜めのコマ罫。 読み順が段の規則ではなく強弱の問題になります。
  • 浮かし文字のモノローグ。 囲みもしっぽも持たない文字が 画面に直接置かれ、思考と絵が同じ層を共有します。
  • 心象としてのトーン 花、効果、グラデーション。その場に 存在しない背景の代わりに情緒が貼られます。

少女漫画の呼吸で描くというのは、この技術を引き継ぐことです。目の大きさではなく、構成です。 少女漫画のページは、読者の視線が自由にさまよっても、正しい感情の順番に着くように設計されています。

隣接区分との関係

  • **少年漫画**はコマ罫をきちんと保ちます。アクションの段取りが一義に 読めなければならないからです。少女漫画はその明快さを手放して同時性を取りました。
  • **女性漫画**は成人女性向けの区分で、いちばん綺麗な線引きは 「恋愛がどこで終わるか」です。少女漫画の恋愛は告白か最初の関係の成立で決着することが多く、 女性漫画の恋愛はそこから始まり、その代償を扱います。
  • **青年漫画**は少女漫画のページの自由をまるごと借用しましたが、 「主人公の内なる声が語りの基準である」という約束事までは借りませんでした。

関連用語

  • 少年漫画 — 少年漫画とはジャンルではなく出版上の読者区分で、おおむね12〜18歳の男性読者向け雑誌に載るマンガを指します。決めているのは内容ではなく掲載誌であり、少年誌はアクションもスポーツもギャグもホラーも恋愛も等しく載せます。
  • 女性漫画(josei) — 女性漫画は、成人女性向け雑誌に掲載される漫画を指す読者層区分で、英語圏では josei と呼ばれます。仕事、お金、結婚、欲望を大人の視点から扱いますが、英語の書店では少女漫画と一括りにされがちです。
  • 青年漫画 — 青年漫画とは、おおむね18歳以上の男性読者向け雑誌に連載されるマンガを指す、出版上の読者区分です。少年漫画との差は過激さではなくテンポと倫理の確からしさにあり、青年誌は主人公が失敗したまま間違い続けることを許します。
  • コマ — コマとは、物語の一瞬を切り取った枠付きの一画のことです。枠が「その瞬間はここで終わる」と示し、コマの面積が読者の滞在時間を決め、コマの並びがそのまま時間の流れになります。

実際に使う