マンファ
別表記: manhwa, 韓国漫画, 만화, マンファ, マンフヮ, manwha
マンファ(manhwa)は韓国語でコミック全般を指す語ですが、日本や英語圏では韓国の作品、とくにフルカラーで縦スクロールのウェブトゥーンを指して使われます。漫画とは色、読み方向、連載単位が違います。
韓国語の만화は「漫画」とまったく同じ意味
만화(マンファ)は韓国語でコミック全般を指す普通の名詞です。日本の作品の翻訳版も、フランスの バンド・デシネの翻訳版も、韓国語では만화と呼ばれます。日本語の「漫画」がそうであるのと同じ です。
実際、漫画・만화・漫畫は同じ二字を日本語・韓国語・中国語で読んだものです。一つの語を三通りに 読んでいるだけなので、語の意味そのものからは3者を区別できません。「マンファ=韓国の作品」と いう狭い意味は、棚の上で日本の作品と区別する必要があった日本と英語圏が後から付け足したもの です。
漫画と何が違うのか
日本の読者から見て具体的に違うのは、この4点です。
- フルカラー。 ほぼ例外なくカラーです。漫画がほぼ例外なくモノクロなのと対になっています。
- 縦スクロール。 2010年前後以降のマンファの多くはウェブトゥーン で、ページではなく一本の帯として描かれます。コマは横長が基本で、読者はスマートフォンを 下へスクロールします。見開きも、めくりの間もありません。
- 左から右。 韓国語は横書きで左から右に読むので、日本語版でも反転されません。「左から お読みください」の注記が付くのはこのためで、右開きに慣れた目には最初だけ戸惑いがあります。
- 週刊エピソード制。 紙の月刊連載ではなく、プラットフォーム上で週1話。1話は通勤中に一度で 読み切れる長さに設計されています。話数は3桁に達するのが普通です。
色と縦スクロールは制作体制の帰結
マンファがフルカラーでいられるのは、描き手が1人ではないからです。線画、下塗り、 仕上げ、背景が別々の担当に割られたスタジオ体制で、週に1話を出します。日本の週刊連載が作家 1人と少人数のアシスタントで18〜20ページを作る体制とは、そもそも分業の形が違う。どちらが 優れているかではなく、モノクロとスクリーントーンの技術体系が 日本で育ち、分業とカラーの体制が韓国で育った、という分かれ方です。
縦スクロールも同じ経緯で、ページという単位を捨てた代わりに間白が 「何ミリ」ではなく「何画面」になりました。見せ場の前に画面1枚分の無地を置いて溜めを作る のが、この形式の最も強い緩急の道具です。
ジャンルの傾向
マンファは社会的地位と上下関係を葛藤の源にすることが多い。誰が誰より上か、家に何を負って いるか、どのギルドに属しているか。主要な商業ジャンルもそこを反映していて、回帰ものと復讐 もの、塔・ダンジョンのシステムもの、そしてムリムの武侠世界が中心に なります。
翻訳の話として日本語話者に有利な点が1つあります。韓国語は文末や呼称で話者同士の上下関係を ほぼ毎文に埋め込みますが、英語にはその層がありません。英語版のマンファの台詞が平坦に感じ られるのは、誤訳ではなくこの層が落ちているからです。日本語には敬語があるので、この層はかなり の程度そのまま移せます。日本語版が原文の空気に近いと感じられるとしたら、訳者が上手いだけで なく、言語の側の相性が効いています。
関連用語
- ウェブトゥーン — ウェブトゥーンは、ページをめくるのではなくスマートフォンを縦にスクロールして読むことを前提に、一本の連続した縦長の帯として描かれるデジタルコミックです。韓国で生まれ、現在は世界中で使われています。
- 漫画(manga) — 日本語の漫画はコミック全般を指す普通の言葉ですが、英語の manga は「日本の様式で作られたコミック」という狭い意味しか持ちません。漫画・만화・漫畫は同じ二字を三か国語で読んだもので、語そのものには国も様式も含まれていません。
- マンホア(中国漫画) — マンホア(manhua)は中国語でコミックを指す語で、日本や英語圏では中国本土・香港・台湾の作品を指します。現在流通しているものの多くはフルカラー、左から右、アプリ上の縦スクロール連載です。