扉絵・見開き

別表記: 大ゴマ, 1ページ大ゴマ, 扉, 見開き, splash page

1ページ全体を一コマで使う見せ方のことです。一つの瞬間にページを丸ごと払うため、話の扉、初登場、場面で最も大きいビート──つまり読者の足を止めたい箇所にだけ使われます。二ページに広げたものが見開きです。

何を払っているのか

20ページの一話には、およそ100コマ入ります。1ページ大ゴマは、そのうち五つから七つを一枚の絵に 使う行為です。これが正直な勘定の仕方で、大きな絵を足しているのではなく、小さなコマを五つ 消している。消えたコマが運ぶはずだったものは、どこかへ移すか、諦めるしかありません。

大ゴマが成功より失敗のほうが多いのはこのためです。人物がただ立っているだけの大ゴマは、五コマ分の 物語で何も買っていません。大ゴマが効くのは、その瞬間自体が数秒間の独占に値するときと、周囲の ページが十分に密で、急な余白が変速として感知されるときです。

ページを払うに値する場面

  • 扉。 話の頭で読者の注意をリセットし、話数やクレジットを場面を割らずに載せられます。
  • 初登場。 以後五十話つきあう人物や場所。
  • 転。 判明、死、変身。その話が積み上げてきた一つのビート。
  • スケール。 小さなコマでは伝達そのものが失敗するもの。艦隊、都市、 高所からの落下。

絵より配置が効く

紙の本では、めくった先に置いてください。右綴じのマンガなら、見開きの左ページ下段に引きを 作って読者にめくらせ、次の見開きの右ページで見せる。読んでいる最中に視界の端に入っていた大ゴマは、 自分で自分のネタを割っています。

見開きは同じ装置を倍にしたものですが、製本上の落とし穴が一つあります。ノドが背の両側 一センチほどを飲み込む。顔、吹き出し、構図の焦点を綴じ目にかけないこと。そして左右それぞれが 単体でも成立するように設計してください。画面で読まれるときは、まさにそう読まれます。

ウェブトゥーンでの等価物

縦スクロールにページはないので、文字どおりの大ゴマもありません。 等価なのは、長い空の間白を手前に置いた、ビューポート全面のコマです。 読者は何もない領域をスクロールし、そのあと画面が絵だけで埋まる。紙ではなくスクロール距離を 操作して、同じもの──読者の注意の独占──を得ています。

実務上の注意

大ゴマは作家を最も描き込んだ絵へ誘惑しますが、ラフな線画の一話の中に完全に塗り込まれた1枚が 入ると、別の作品から輸入してきたように見えます。描き込みの密度は前後のページに揃えること。 大ゴマを大きく見せるのは、技法の変更ではなく構図・コントラスト・スケールの仕事です。

関連用語

  • コマ — コマとは、物語の一瞬を切り取った枠付きの一画のことです。枠が「その瞬間はここで終わる」と示し、コマの面積が読者の滞在時間を決め、コマの並びがそのまま時間の流れになります。
  • 塗り足し(裁ち落とし) — 塗り足しは、仕上がり線の外側まで絵を伸ばしておく余白のことです。断裁位置は数ミリずれるため、仕上がり線ぴったりで絵を止めると紙の端に白が出ます。日本の原稿用紙では仕上がり枠の外に3mm前後の塗り足し幅が取られています。
  • エスタブリッシングショット — エスタブリッシングショットは、場面の場所と人物の配置を示す引きのコマです。寄りに入る前にこれを置かないと、読者は続く寄りのコマを一つの空間に並べられなくなります。
  • 間白(ガター) — 間白は、コマとコマの間の空白です。読者はその空白で2つの絵の間に何が起きたかを補完するため、間白の広さがそのまま飛ばした時間の量と、一拍をどれだけ持たせるかを決めます。

実際に使う